文部科学広報 216号
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高大接続改革の進捗状況1高等学校教育改革①教育課程の見直し高等学校学習指導要領については、平成28年12月の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(以下「答申」という。)を受け、現在、改訂の作業を行っているところであり、平成29年度中に案を示し、パブリックコメントを経て、公示する予定です。答申では、高等学校の教育課程の在り方について、各学校が、社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」の観点と、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様性への対応」の観点を軸としつつ、育成を目指す資質・能力を明確にし、それらを教育課程を通じて育んでいくことが重要であり、また、育成を目指す資質・能力と教育課程の在り方を生徒や社会と共有していくことも重要とされています。このような基本的な考え方を踏まえ、答申では高等学校の科目構成については、育成を目指す資質・能力の在り方に基づき抜本的な見直しを図るよう提言されています。具体的には、地理歴史科における共通必履修科目として、世界史必修を見直し、世界とその中における我が国を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する「歴史総合」、持続可能な社会づくりを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察する「地理総合」の設定や、新たな共通教科として、教科の枠にとらわれない多面的・多角的な視点で事象を捉え、数学や理科における「見方・考え方」を活用しながら探究的な学習を行う「理数探究」の設定などが提言されています。今回の改訂は、高大接続改革という、高等学校教育を含む初等中等教育改革と、大学教育改革、そして両者をつなぐ大学入学者選抜改革の一体的改革や、キャリア教育の視点で学校と社会の接続を目指す中で実施されるものであり、特に高等学校にとって、これまでの改訂以上に大きな意義を持つものと言えます。②学習・指導方法の改善、教員の資質・能力の向上生徒に対し次期学習指導要領が目指す、生きて働く「知識・技能」、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」を確実に育むためには、学びの過程において子供たちが、主体的に学ぶことの意味と自分の人生や社会の在り方を結び付けたり、多様な人との対話を通じて考えを広げたりしていることが重要です。また、単に知識を記憶する学びにとどまらず、身に付けた資質・能力が様々な課題の対応に生かせることを実感できるような、学びの深まりも重要です。しかしながら、高等学校、特に普通科における教育については、自らの人生や社会の在り方を見据えてどのような力を主体的に育むかよりも、大学入学者選抜に向けた対策が学習の動機付けとなりがちであることが課題となっています。現状の大学入学者選抜では、知識の暗記・再生や暗記した解法パターンの適用の評価に偏りがちであることなどを背景として、高等学校における教育が、小・中学校に比べ知識伝達型の授業にとどまりがちであることや、卒業後の学習や社会生活に必要な力の育成につながっていないことなどが指摘されています。そのため、答申で示された「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善に向けた取組を推進していくことが各学校には求められます。具体的には、教員一人一人が生徒に求められる資質・能力を育むために、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して授業をデザインすることが求められます。例えば、主体的に学習に取り組めるよう学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりして自身の学びや変容を自覚できる場面をどこに設定するか、学びの深まりをつくりだすために生徒が学ぶ場面と教師が教える場面をどのように組み立てるかなどといった観点で、生徒や学校の実態、指導の内容に応じた授業改善を進めることが重要です。現在、国では独立行政法人教職員支援機構(前教育研修センター)に設置された次世代型教育推進センターにおいて、授業改善の事例の収集・周知等を通じて、各学校における授業改善の取組の参考となる情報を示しているところですが、文部科学省としても、引き続き関係機関と連携し、教員の指導力向上に向けた取り組みを後押しして文部科学広報 No.216 平成29年11月号2

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